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蛍が織りなす夜の道標

だけど、ときどき僕らを迷わせる。

森の住人として

黒衣森に夜が訪れた。人々はそれぞれの家へ戻り、家族との時間を過ごす。子どもたちはその日一日の出来事を親に報告し、恋人たちは寒くもないのに身を寄せ合う。そして人間たちが去った森では、太陽が出ているあいだ人間に森の奥へと追いやられた者たちが、自分たちの居るべき場所にやっと戻ることができる。

そのような森の住人は、ファンガーやダイアマイトといった人々に危害を加える者たちだけではない。エオルゼアにおいては黒衣森にしか生息していないと言われている『蛍』もそのひとつだ。

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グリダニアの子どもたちとの関係

よく晴れた夜に彼らはどこからともなく現れ、まるで舞踏会でもしているかのようにリズムに乗って揺らいでみせる。グリダニアでも旧市街にあるアプカル滝などで目にすることができる。当然街の中は安全であるため、子どもたちが集まってきて声をあげ、夜の街は少しだけ昼のような賑わいを見せるが『喧騒』とはまた少し違う。

子どもたちの目は好奇心に満ち溢れ、目の前にいる光を放つ虫たちよりも強い輝きを放っているようにも見える。気づかないうちに時間が経ち夢の世界へ行くべき時間になったのだろう。親と思われる大人が現れて、自分の子どもの首根っこをつかんでそれぞれの家へ連行していく。こうやって、グリダニアの街に本当の夜が訪れる。

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森の歩き方

一方森の外ではというと、はるか遠くを横行闊歩するトレントの足音が聞こえるほどの静けさ。森の歩き方を知っている冒険者やキャンプに生活の拠点を置いている者であれば落ち着いて行動できるだろうが、それ以外の者は思わず慌ててその場から走って逃げ出そうとしたなら、彼はその選択が間違っていたことを知ることになるだろう。

大丈夫、こちらから手を出したり刺激したりしない限り、何もしてこない。そして、その傍らにある水辺にはたいてい蛍が居るものだ。だから、蛍を見たいのであれば、木々の葉を揺らすそよ風のように静寂の森と一心同体となる必要がある。

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迷宮の主

ただ、だからといって何も考えずに蛍を追い求めるのは少々危険な行為かもしれないということを覚えておいたほうがいい。グリダニアは街道に沿って街灯が設置されていることが多いため、夜でもほとんど迷うことなく拠点の間を移動することができる。蛍はその真逆であるほのかに暗い場所に姿を見せては往来する者を誘惑する。彼らの誘いに乗ってしまい道を外れると、追いかけているうちにいつの間にか知らない場所に引きこまれていき、元の道に戻れなくなったという話を聞いたことがある。

「正しい道を進みたいなら蛍を避けて」という言葉もある。『黒衣の迷宮』と呼ばれる所以は、もしかしたらこの虫たちの仕業によるものなのかもしれない。もし迷ったとしても、その場所に留まっていればやがて夜明けが訪れる。蛍はまたどこかへ消え、彼らがかけた迷いの魔法も解けてなくなるだろう。

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