Home > Journal > 一歩踏み出す前に

一歩踏み出す前に

足もとには、いつも注意を払う必要がある。

(※この記事はみよよさんのブログ「はばたけ!リムサっ子」内の記事「カルンの読めない道しるべ」を読んで挑戦した調査の記録を「エオルゼアで生活する記者が書いた記事」という創作です。また、内容はすべて推測です。)

Pola-Camlif-2017_01_23-22_10_294

南ザナラーンはブロークンウォーターの北東部に位置する遺跡、カルン埋没寺院。凶暴なモンスターが多数棲息していることなどから、冒険者の間でも危険だと恐れられている場所のひとつだ。そんな遺跡になぜ私は一人で潜入したのか? それはたったひとつの好奇心によるものだった。別にここに隠された財宝に興味があるわけではない。

Pola-Camlif-2017_01_23-22_10_295

それは、エオルゼアじゅうを旅する、とある人物が公開したある報告だ。このカルン埋没寺院に「読めない文章が刻まれた石碑」があるのを発見したというものだ。そこにはいくつかの写真が掲載されていたが、自分の目で確認し、あわよくば解読したいと考えた。

Pola-Camlif-2017_01_23-22_10_293

こちらが問題となっている「審理の石碑」だ。たしかに私たちにも馴染みのあるエオルゼア文字で書かれている。だが、遺跡全体の至るところに風化が見られ、この石碑も例外ではなく、すべての文字を読むことはできない。ちなみに、報告にもあるように、遺跡の内部にある「審理の間」にも同様の台座が存在するが、そちらにはこの文字が書かれてはいない。遺跡の入口にしかないということは、訪れた者に対してのメッセージなのだろうか。

報告では、いくつかの文字が推測されていた。それによると、はっきりと読めるのは文の冒頭の「Over co」ぐらいで、残りの文字はなんとなく読めそうだが確信は持てないというレベルだ。さて、ここでエオルゼア文字の一覧表を見てみよう。これを参照しながら、石碑をさまざまな角度から眺めてみた。また、照明器具なども使い、小さくても何らかの痕跡が見当たらないかくまなく調べた。それから、手持ちの地図も見直し、たとえば部屋の名前などがヒントになっているのではと考えたが、これといって有力なものはなかった。

Pola-Camlif-2017_01_23-22_10_292

気を取り直し、1行目の解読から取りかかる。「Over co」の次の文字は? とりあえず「v」か「y」ではないかと予想した。ただ、問題はその次だ。なんだ、この文字は? 一覧表の中にはないようだ。

仕方なく2行目へ移動するも前半が分からない。「e ous was」と見えなくもないが、「e」の後ろに空白が入っているのか? しかし、「e」のみで表される意味のある単語など知らないし、空白だとしたら「ous」が単独の単語だということになる。いや、待て。「ous」は形容詞の語尾としてよく目にするではないか。つまり…「e」の後ろには完全に消えた1文字が隠されている。

そう仮定すると、さらに1行目の最後の文字、これは2行目の最初の文字とを繋ぐ記号「-」なのではないかと推測できた。これを正しいとすると、「cove*ous」または「coye*ous」となる。ここまで判ればあとは辞書の出番だ。先頭が「cove」または「coye」で始まり、「ous」で終わる単語を調べたところ、「covetous」という単語を発見した。この単語は「強欲な」とか「むやみに欲しがる」という意味を持つ形容詞とのこと。1行目と2行目を繋げると「Over covetous was」となる。

3行目は風化がとくに激しいようで、ほとんどの文字が消えているように見えるが、5つの文字が書かれているのではないかと思われる。ここで、先ほどの「Over covetous was」をもう一度思い出してみよう。もしかするとこの石碑には格言めいたものが書かれているかもしれない。「Over covetous was …」で始まる慣用表現が存在するのではないかと予想した私は「Over covetous was never good.」という文章があるのを発見した。「欲を持ちすぎると、ろくなことにならない。」という意味らしい。「never」は5文字だし、3行目には「never」が入るものと思い込んだうえでもう一度石碑を見てみると、真ん中の文字が「v」に見えなくもない。

Pola-Camlif-2017_01_23-22_10_29

つまり、この石碑に書かれていた文章は「Over covetous was never」と推測される。「Over covetous was never good.」と細かい意味の違いはあるのかもしれないが、大筋の意味としては同じだろう。ここはたくさんの財宝が眠ると言われている遺跡だ。これからこの場所を荒らそうとする者への警告、ということなのだろう。腕っぷしに自信があるわけでもない私は、このメッセージに従って遺跡をあとにすることにした。