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ウルダハ:ナル回廊/エーテライト・プラザ

ありふれた男の特別な夜

Determination

BACKGROUND STORY

『眠らない街にて』

 夜になれば、月でも出ていないかぎり外を歩いていても誰からも気づかれない。昨日まで俺が歩いてきたのはそういう道だった。

 だがこの街ときたらどうだ。夕方過ぎに着いたわけだが、こんな夜更けになっても通りは人であふれていて、どこを歩いていても、どんな悪いことをしてもかならず誰かに見つかってしまいそうなほどだ。もっとも、治安が良いというわけではなさそうだが……。

 俺はとくに人より秀でているものがあるわけでもなく、人と関わるのもそれほど得意じゃない。どこにでもいる普通の男だ。そんな奴がどうして世界を股に掛ける冒険者になろうと思ったのか。いや、そんな自分を変えてみたいと思ったからこそ、か。

 こんな真夜中でさえ目が回りそうなほど華やかな場所なのに、朝になったらいったいどんな景色が目の前に広がるのだろう。ここから伸びる道はたくさんありすぎて、迷って立ち止まることもあるかもしれない。分かっているのは、来た道を引き返すことはないということだけ。