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東部森林/ラークスコール

あの傘の行方は未だ知れず

It is in someone’s hands

BACKGROUND STORY

『雨がもたらすもの』

 人によって好き嫌いは分かれると思うけど、雨が降り始めるときのあの匂い、僕は好きなんだ。あれが何の匂いなのか、どういう仕組みで発生しているのか、そういう科学的なことにはあまり興味はないんだけどね。いや、今はそんなことを呑気に話してる場合じゃない。家を出るときにはたしかに傘を持っていたんだけど、どこかに置き忘れてしまったのか、失くしちゃったみたいで。たぶん……だけど、ホウソーンさんのところにある店で買い物をしたときに置き忘れたんじゃないかと。あのときはまだ降り始めてなかったからね。まったく……晴れてるときはただの荷物でしかないのに、必要なときに限って手元にないなんて。雨の匂いは好きだと言ったけど、雨そのものはそうでもないんだ。

 だけど、こうやって雨宿りしてたって、いつ魔物に襲われるか分からない。しかたがないから、雨が止む気配はないけど走って戻ることにするよ。なに、ずぶ濡れになったって、最悪風邪をひいて2,3日寝込むだけさ。そこからはチョコボを借りてグリダニアへ向かうよ。テレポだって?お金がもったいないよ、別に急いでるわけじゃないんだし。傘は本当にあそこに置き忘れてたとしても、もう誰かに盗られてしまってるんじゃないかな。忘れた奴が悪いんだ、それにもし逆の立場なら僕だってそうするかもしれないし、お互い様さ。怒るやつなんていない。もしかしたら、他の世界じゃ事情が違うかもしれないけどね。

 さて……と、家に帰ったらすぐに風呂を沸かさなきゃな。知ってるかい?雨でびしょ濡れになったあとに入る熱い風呂ほど気持ちのいいものはないんだ。えっ?連れてってやるからテレポで一緒にグリダニアへ戻らないかって?そんなことできるの……?